北海道1日目の朝。アラームが鳴る。少しひんやりとした空気で、布団から出たくなかったけれど、無理やり体を起こした。時間通りに動かなければ、このタイトなスケジュールを完遂できない。昨日宿の主人からもらった鯛型のパンと晩御飯のお土産のほっけの開きを飲み込むように食べる。朝から匂いがすごい…。まあ誰とも会わないし、いいか。
食べ終わったら、網走監獄博物館の開館時間に合わせて、宿から40分程歩いた。途中、ヒッチハイクをしたい気持ちにもかられたが、おそらく通勤時間で悪目立ちするだろうから、あきらめた。
少し早歩きで歩いて余裕を持って着こう、と思っていたが、北海道の大自然がきれいで、何度も足を止めてしまう。印象に残っているのは、網走湖。水が綺麗で反射するため、湖の中に空が見えた。たくさんの白鳥が求愛行動で鳴いていた。水の波紋があちらこちらに広がっていた。しばらくぼーっと眺めた。歩いているからこそじっくり眺められたんだと思う。
足を止めながら歩いたので、最後の方は小走りで移動、ぎりぎり開館時間に間に合った。全部見て回るのに3時間かかった人もいると聞いていたので、急いで入った。
建物をみて、監獄だというのに赤煉、白の色遣いと形がかわいいと思った。明治時代に完成した建物らしい。色々な説明書きを見て回る。川という地形を生かした監獄。人を見張るための工夫が凝らされていた。
ところで、私はゴールデンカムイがとても好きで、今回は半分聖地巡礼、みたいな気分で回っている。ゴールデンカムイの中で、白石という、脱獄得意キャラがいるのだが、実際にそういう人がいたらしい。白鳥由栄という人だ。巡回に回っている看守が、部屋にいるか確認するために使う、目線ほどの高さの小窓から逃げたという逸話がある。本当かどうかわからないけど、本当ならすごい。‘’破獄‘’というその人の伝聞が書かれた本があって、いつか読みたいと思っている。
明治政府が進めた北海道開拓と網走監獄は密接な関係で、見方によっては苦い歴史だそうだ。寒い中、食べ物も少ない中で、北海道の道を作る。作業をしながら亡くなる人もいたらしい。
館内を2時間弱ほどの時間で回った後、急いで北方民族博物館へ向かった。滞在時間30分ほど。太陽の塔の内部を見たときから、なんとなく土着信仰みたいなものが好きになった。お面とか、北方ならではの材料を使った衣服などが展示されている。少し小さな館内だったので、あっという間に周り終わった。
そのままバスに乗り、12時30分のオホーツク号に乗る。乗車時間3時間50分程だったので、駅にある不愛想なおじさんが販売していた海鮮弁当、磯宴とポテチ、お水を購入した。とても不愛想なおじさんだったけど、あの忙しさじゃ疲れちゃうよね、ファイト!と心の中で思った。
もう3月も終わる時期だというのに、北海道はまだまだ雪だらけだった。電車から見える景色は真っ白。鹿とかシマエナガとかいないかな、と最初は目を凝らしていたが、見えるはずもなく、次第に電車の揺れが心地よくて眠ってしまった。
旭川に到着。ここに1時間滞在して美瑛に向かう予定だったので、何か手ごろなものを近場で食べようかな、と考えていたのだが、旭川に着いてから、ふと’’旭川ラーメンを食べたい’’という衝動にかられたので、急遽ラーメン青葉に向かうことにした。余計なお金を使いたくないので歩くことにした。片道徒歩15分。少し早歩きで向かったら、少し込み始めていたが、まだ席につけた。
入ったら愛想のいいおばちゃんに、「好きな席座って」と声をかけられた。私が席を迷っていると、「あなた、この映画見た?」と壁のポスターを指さされた。貼ってあったのは、菅田将暉と小松奈菜が出演している’’赤い糸’’。新婚ほやほやのお二人が出ているこの映画のロケ地は、北海道で、撮影の合間にラーメン青葉に食べに来たらしい。
「あなた、この人(菅田将暉)好き?この人は、この席座ったよ」と、窓際の席を案内される。特にファンというわけでもなかったが、とりあえず座ったら、「ラーメンどれにする?この人は醤油頼んだよ」と言われた。特に決めていなかったし急いでたので、醤油を頼んだ。
やってきたのは、脂っこすぎず、さっぱりしすぎていない、ちょうどいい加減のラーメン。急いで食べる。
意外と常連さんが多いのか、スタッフの女性がお客さんとよく話していた。有名になってんも、地元の人を大事にするの、とてもいいなあ。
15分かからず食べ終わり、急いで駅に戻ったら、余裕を持って座れた。
いざ行かん、美瑛!