2019年9月17日。
朝、窓の隙間から差し込んできた朝日で起きた私は、緊張していた。今日は私のこの旅一番の目的、カステルフィダルドへ行くからである。カステルフィダルドは世界のアコーディオン生産量を8割を占めている町で、毎年アコーディオンの国際的なコンクールが開かれている。私は昔、映画「ポケモン 水の都の守り神」で音楽を聞いてから、アコーディオンの音色に惚れ、自分のお金で購入し、今も弾いている。日本人のアコーディオン奏者、Cobaさんもよく行く場所だということで、一度行ってみたいと思っていたのだ。
やっと行ける!と息巻いていたが、一つ問題があった。
出発日の朝になっても行き方がはっきりしていなかったのだ。日本人のブログなどを見ると、大体がアンコーナ空港から車で移動しているが、私の場合列車移動&車無しなので、そう簡単にはいかない。英語で調べてもわからなかった。とりあえず、バスがあるという情報は手に入れていたので、アンコーナ駅へと向かった。
駅へ向かうと、出勤の時間なのか意外に人がいた。チケット売り場のお姉さんにアコーディオンミュージアム行のチケットをお願いしたら、無事購入できた。乗り場は?と聞いたら、6番とのこと。向かったらバスが来ていたので、急いで乗った。
8割埋まっているバスに揺られながら、到着まで何分くらいかGoogleMapで確認をすると、おかしなことに気づいた。向かっている方向が駅から真逆の方向だ。
バスが止まった時に、運転手に「Fisarmonica Museo(アコーディオンミュージアム)?」と聞いたら、「No.」と言われた。オーマイガッ!別のバスに乗ってしまった!急いでおりて、5分ほど走って駅に戻る。早めに気づいてよかった~!
次は失敗しないぞと、また6番に並び、次のバスがアコーディオンミュージアムへ行くかどうか周りの人に聞いたところ、1、2人目にはわからないと言われたが、3回目に聞いた人が次のバスで行く、と教えてくれた。これで大丈夫だ!と安どのため息をついてバスに乗った。乗るときに、運転手に「Fircamonica Museum?」と聞いたら「Si.」と答えてくれた。降りる場所が近づいたら教えてくれないかなとちょっと思いつつ前の方の席に座った。
外を眺めていると、少しずつ小山の上の方に上っていることに気づいた。その途中で、大手に吸収されたのか、傘下に入ったのか看板が古くなっていてやっているかわからないアコーディオン屋さんを見つけた。アコーディオンは、構成するパーツがとても多く、昔は作るにあたって色々な人が関わっていたんだろうけど、機械の技術が発展して変わっていったんだろうなあ。
そんなことを考えていたら、斜め前に座ってた身長が高くて運転手さんと仲がよさそうなおじいちゃんに、声をかけられた。イタリア語はさっぱりわからないけど、おそらくここで降りてと言われた気がしたので降りた。
降車後、6番乗り場でこのバスについて教えてくれたお兄さんが、心配してくれたのか帰りのバスの時間と乗り場も教えてくれた。「Grazie!」と伝え、町に向かった。
街の入り口で、バスに一緒に乗っていた大きいおじいちゃんに会い、「アコーディオンミュージアムに行くの?」とおそらく言われた。「Si.」と伝えたら、おじいちゃんがものすっっごい勢いで何かを話し始めた。身振り手振りと巻き舌がすごい!身長も高いから演説か何かを聞いている気分だ!でもごめん、イタリア語はさっぱりわからん!!!英語は話せなさそうだったので、ここかな?というタイミングでとりあえず頷いた。体感5分ほど話した後、おじいちゃんはどこかに消えていった。きっと何かを教えてくれようとしたんだろうけど、何もわからなかった。次来るときはイタリア語を学んでから来よう…。
ちょうどお昼の時間だったので、近くの小さなカフェでバーガーを食べた。何人か地元の人が食事をしていたが、サンドウィッチのショーケースのほうにハエが飛んでいた。
それを見て、食べていいか少し不安になったが、死にはしないと思って食べた。薄めのジャンキーな味がした。
ご飯を食べ終わり、町を散策。石造りの道路で海も見えて、和やかで雰囲気も良かった。子供向けのアコーディオンの楽譜を買い、チラシが貼ってある掲示板を眺めていたら、アコーディオン奏者のcobaさんの姿があった。あれ、最近ここでコンサートがあったの?と思い日付を確認すると、まさかの昨日。嘘、昨日ここでコンサートがあったっぽいじゃん!惜しいことした~!